クラシック音楽を語る上では欠かす事ができないロシア音楽ですが、意外にも歴史は浅いジャンルとなります。
ロシアのクラシック音楽にはどんな特徴があるのか、代表的な作曲家とともに紹介していきます。
目次
ロシアのクラシック音楽の歴史

18世紀初頭までは世俗的な音楽が禁止されていて、いわゆる「バロック音楽」「古典派音楽」というジャンルではほぼロシアの名前は出てきません。
クラシック音楽が入ってきたきっかけは近代化政策によりサンクトペテルブルクが建都されたこと。1703年のことでした。
貴族的たちは西ヨーロッパの文化を積極的に取り入れ、オペラや舞踏会といった芸術を用いて社交の場を広げていきました。
ロシア5人組とは
もともとロシアには多様な民族音楽が根付いていたこともあって、クラシック音楽と民族音楽が融合して独自の発達を遂げていきます。
その「ロシア独自の音楽」を追求していたのが、ロシア5人組と呼ばれる音楽家集団です。
- ミリイ・バラキレフ
- ツェーザリ・キュイ
- モデスト・ムソルグスキー
- アレクサンドル・ボロディン
- ニコライ・リムスキー=コルサコフ
上記の5人組は、1860年代より活動を開始し、ロシアオペラや標題音楽を発展させました。
チャイコフスキーとバレエ音楽
一方、ロシア5人組と敵対する音楽家に指示していたチャイコフスキーは、5人組と距離を置きながら独自の世界観で次々と作曲していきました。

へみ
チャイコフスキーの一番の功績と言えば「バレエ音楽」です。
白鳥の湖やくるみ割り人形など、誰もが知る作品が今日でも人気なのはチャイコフスイキーの音楽があってこそ。
ロシア風のメロディを取り入れつつも、西欧やアジアの人々の心にも響く作品を多数残しました。
ピアニストとヴァイオリニストの台頭
ソ連時代には、エリート養成教育が進み数々の音楽家がロシアから生まれていきます。

へみ
恵まれた体格や厳しい冬に耐えうる精神力もあって、現在でも有名なピアニストやヴァイオリニストはロシア出身の方が多いですね。
ラフマニノフやプロコフィエフといった、有名ピアニストが手掛けた曲も、ロシアの代表曲となっています。
ロシアの代表的なクラシック音楽作曲家7人

それでは、ロシアクラシック音楽界でも有名な7人を、代表曲とともに紹介していきます!
名前は分からなくても曲はかなり有名なものばかりなので、これを機に豆知識を増やしてみてくださいね。
アレクサンドル・ボロディン(1833- 1887)
ロシア5人組のなかの一人ですが、実は本業は音楽家ではありません。

へみ
ボロディンは医師・科学者として優れた功績を残していて、本人曰く「日曜作曲家」でした。
頭脳もさることながら音楽的センスもずば抜けていて、交響曲は2番まで書き残されています。
ボロディンで一番有名なのが、オペラ「イーゴリ公」。世界一美しいメロディとして有名な「韃靼人の踊り」はこのオペラの中の一曲です。
残念ながらイーゴリ公が完成する前に急死してしまうのですが、ロシア5人組のリムスキー=コルサコフとグラズノフによって追記完成されました。
ロシア民謡の特徴である「ヨナ抜き音階」を上手く取り入れた、哀愁あるメロディ。ロシア・クラシックの発展に大きく貢献した人物の一人です。
ニコライ・リムスキー=コルサコフ(1844- 1908)
ロシア文学や民謡、言い伝えなどをもとにした作品を数多く残したのがリムスキー=コルサコフです。

へみ
もともと音楽的教育は受けておらず、ロシア5人組となるまではなんと独学で作曲していたというツワモノ。
代表曲はアラビアンナイトを題材にした「シェヘラザード」で、鮮やかでエキゾチックな魅力が今日でも人気の作品です。
オーケストラの各楽器の魅力を最大限に引き出した作品で、ソロ楽器が奏でるそれぞれの主題が聴衆の想像力を掻き立てます。
ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー(1840- 1893)
もはや説明不要なほど人気で有名なチャイコフスキー。
バレエ音楽「くるみ割り人形」「白鳥の湖」や、7つの交響曲、ヴァイオリン協奏曲など、数々の名曲を残した作曲家です。
どこか懐かしいようなメロディと分かりやすい和音進行で、クラシック音楽初心者も聴きやすい音楽が魅力。

へみ
そんな親しみやすい音楽に「絶妙な装飾」を加えて、キラキラ華やかに仕立て上げるのがチャイコフスキーの特徴です。
バレエや歌劇の作品が特に人気で、ロシア文学が世界で評価されるきっかけを作った人物とも言えるでしょう。
参考:【クラシック音楽】ワルツの名曲10選!優雅な気分に浸れる楽曲を紹介
セルゲイ・ヴァシリエヴィチ・ラフマニノフ(1873- 1943)
もともとは周囲からピアニストになることを熱望されていたラフマニノフですが、10代のころチャイコフスキーの「お気に入り」だったこともあり作曲家を志すようになります。

へみ
モスクワ音楽院作曲家を首席で卒業しますが、4年後に満を持して発表した「交響曲第1番」が不評に終わってしまいました。
失意のラフマニノフがスランプから抜け出したきっかけが、代表曲である「ピアノ協奏曲第2番」。数あるピアノ曲の中でも最も難しい部類に入ります。
ロシア正教の鐘をモチーフにした和音から始まる重厚なピアノ協奏曲で、ロシア民謡風のメロディやどこか皮肉めいたスケルツォなど、ラフマニノフのアイデンティティがしっかり表現されています。
参考:スコア(総譜)を見ながら聴きたいクラシック音楽10選!スコアリーディング入門
ドミートリイ・ドミートリエヴィチ・ショスタコーヴィチ(1906- 1975)
スターリンによる独裁時代や、世界大戦を駆け抜けた作曲家です。

へみ
第二次世界大戦の様子をもとに作曲した「交響曲第7番(レニングラード)」や、ロシア革命37周年を記念した委託作品「祝典序曲」など、国家の意向を汲んだ作品も多く残しています。
一方、ユダヤ系の音楽やアメリカのジャズなど、国境を越えた文化を積極的に取り入れていたショスタコーヴィチ。
スターリンの死後や終戦のタイミングを見計らい発表するなど、常に世の中に揉まれながら活動していた作曲家です。
イーゴリ・フョードロヴィチ・ストラヴィンスキー(1882- 1971)
音楽家人生のほとんどをパリやアメリカなどの「ロシア国外」で過ごしたストラヴィンスキー。
初期の作品はバロックや古典派時代を懐古するような作風でしたが、中期~後期にかけ「十二音技法」など前衛的な作風に変化していきます。
代表曲である「春の祭典」は、初演のパリで賛否両論を巻き起こした楽曲。

へみ
冒頭部は超高音のファゴットで始まるなど、これまでのオーケストレーションの常識をがらりと変えた曲だったからです。
変拍子や調性が掴めない和音進行など「難解な部分」が多く、熱狂的なファンとそうでない人がはっきり分かれる作曲家かもしれませんね。
アラム・ハチャトゥリアン(1903- 1978)
ソ連の作曲家として名が残っていますが、ハチャトゥリアンは現在のアルメニア共和国出身で少しロシアとは雰囲気の違う作曲家かもしれません。

へみ
アルメニアやジョージア、アゼルバイジャンなどの民族音楽を積極的に取り入れていましたが、それが政府により粛清の対象にされてしまった時期も長くありました。
スターリンの死後は作品を発表する機会に恵まれたこともあり、次々とヒット作を生み出していきます。
代表作はオペラ「ガイーヌ」の剣の舞。ダイナミックで勢いある曲調が日本でも人気ですよね。
参考:【クラシック音楽】トロンボーンの音色の特徴と名曲10選
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