クラシック音楽は1800年代半ばくらいまで、ドイツが中心でした。
へみ
バッハ(ドイツ)、モーツァルト(オーストリア)、ベートーベン(ドイツ)など、有名な作曲家はみんなドイツ語圏で活躍しています。
1900年前後からは、フランスやロシアの作曲家が新しい風を吹かせるのですが、オーソドックスなクラシック音楽とは一味違う魅力がたくさん詰まっているんです。
そこでこの記事では、クラシック音楽の中でもフランスの作曲家にフォーカスを当てて、名曲を紹介していきます!
目次
フランスのクラシック音楽の歴史
バッハなどが活躍したバロック時代、モーツァルトやベートーヴェンが活躍した古典派時代には、フランスには現在も名が残る有名な作曲家はほとんどいません。
バロック時代のクープラン、ロマン派時代のベルリオーズ…以降はフランス印象派時代まで著名な作曲家は出てきませんでした。
とはいえクラシック音楽が流行っていなかったワケではなく、各国の作曲家の影響を受けて多くの演奏会が開かれていました
フランス独自のクラシック音楽が生まれてきたのは1800年代後半。
印象派、と呼ばれるパリを中心に起こった芸術運動とともに発展した音楽で、一般市民も楽しめる”直観的”な作風が特徴です。
へみ
現代の私たちが聞いても、作曲家がつけた題名と音楽のイメージが一致しやすいです。
なので、クラシック音楽初心者の方でも親しみやすい音楽だと言えますね。
フランスのクラシック音楽で有名な作曲家7人&代表曲を紹介
それでは、フランス出身のクラシック音楽作曲家を10人、代表曲とともに紹介していきます!
どの作曲家も人気なので、曲を聴くと案外「知ってる!」と思うものが多いかもしれませんよ。
エリック・サティ
エリック・サティ(1866ー1925)
出生地:フランス オンフルール
代表曲:ジュ・トゥ・ヴ、3つのジムノペディ、3つのグノシエンヌ、(犬のための)ぶよぶよした本当の前奏曲、など
フランス印象派音楽の代表的存在であり、ドビュッシーやラヴェルにも大きな影響を与えた一人です。
へみ
それまでの(ドイツ的な)伝統的なクラシック音楽の常識を次々に破り、作曲方法として御法度な手法を音楽として確立させました。
全体的に調性があいまいで、ふわふわ漂うような不思議な感覚の音楽が特徴です。特に代表曲の「ジムノペディ1番・2番・3番」はその特徴が顕著に表れていますよね。
ちなみに、ジムノペディは「夜中に聴きたいクラシック」という記事でも紹介させていただきました!
クロード・ドビュッシー
クロード・アシル・ドビュッシー(1862ー1918)
出生地:フランス サン=ジェルマン=アン=レー
代表曲:2つのアラベスク、ベルガマスク組曲、交響詩「海」、組曲「版画」、牧神の午後への前奏曲、喜びの島、子供の領分、など
ドイツクラシック、特にワグナーに傾倒する人々に疑問を投げかけたドビュッシー。
多くを語らないミステリアスな人柄とは対照的に、フランス音楽の中ではあたたかい雰囲気の曲調が人気の作曲家です。
へみ
オーケストラの代表曲「海」は、日本の絵画「神奈川沖浪裏」にもインスピレーションを受けていると言われているので驚き!
ほかにも美しい代表曲がたくさんあって、解説しきれないのですが…この記事では「朝に聴きたいクラシック」でも紹介したアラベスク1番2番をお聴きください。
参考:クラシック音楽のドビュッシーってどんな人?名曲7選を半生とともに紹介
モーリス・ラヴェル
ジョセフ・モーリス・ラヴェル(1875ー1937)
出生地:フランス シブール(バスク地方フランス領)
代表曲:水の戯れ、亡き王女のためのパヴァーヌ、バレエ音楽「ダフニスとクロエ」、クープランの墓、ボレロ、左手のためのピアノ協奏曲、夜のガスパール、など
音楽好きの両親の影響で、10代のころから才覚を発揮していたラヴェル。
作曲した多くの作品は一般大衆に大ウケしていたものの、当時異端児だったエリック・サティを称賛していたこともあって音楽院やコンクールの審査員からは煙たがられていました。
へみ
それが原因で、当時のパリ音楽院の院長が辞任に追い込まれる事件もあったほどなんです!
ラヴェルの作風が確立されたと言われているのが、26歳の時に作曲された「水の戯れ」です。
F・リストの「エステ荘の噴水」の流れを汲みながら、東洋のテイストを絶妙に組み合わせた斬新な作風は、当時の人々を虜にしました。
参考:【クラシック音楽】モーリス・ラヴェルってどんな人?代表曲とエピソード
カミーユ・サン=サーンス
シャルル・カミーユ・サン=サーンス(1835ー1921)
出生地:フランス パリ
代表曲:序奏とロンド・カプリチオーゾ、死の舞踏、オペラ「サムソンとデリラ」、交響曲第3番「オルガン付き」、動物の謝肉祭、など
「神童」と呼ばれたサン=サーンスは、子供のころからクラシック音楽にどっぷり漬かっていた作曲家です。
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そのため教会音楽やバッハ(バロック音楽)、メンデルスゾーンやシューマン(ロマン派音楽)、リストやワグナーなど前衛的なドイツクラシックを研究しつくした作風となっています。
フランス印象派の音楽家たちからは「古臭い」などと称されることもあったようなのですが、現代の私たちから見るとまさにクラシック音楽のお手本が詰まったような作曲家だと言えるでしょう。
代表曲は「安眠したいときにおすすめのクラシック曲」でも紹介した、「動物の謝肉祭」より白鳥です。
ジョルジュ・ビゼー
ジョルジュ・ビゼー(1838ー1875)
出生地:フランス パリ
代表曲:アルルの女、カルメン、など
アルルの女、カルメンなど、フランスオペラの代表的存在であるビゼー。
特にカルメンは、ヒロインを工場で働く労働者に設定し、声域を定番のソプラノではなくメゾソプラノにするなど当時としてはかなり斬新な演出を生み出しました。
へみ
動画リンクも「カルメン」からピックアップしています。こちらは戦闘曲クラシックという記事でも紹介させていただきました!
実はビゼーはかなり早世で、36歳で亡くなってしまっているんです。
しかも最後のオペラである「カルメン」で一気に人気を博したこともあり、ほとんど世に知られないまま…
死後友人たちにより発表された曲も含め、20世紀以降に人気が爆発した気の毒な作曲家の一人です。
エクトル・ベルリオーズ
ルイ・エクトル・ベルリオーズ(1803ー1869)
出生地:フランス ラ・コート=サンタンドレ
代表曲:荘厳ミサ曲、幻想郷交響曲など
印象派の作曲家が目立つフランスクラシックですが、ひと昔前のロマン派時代に活躍したのがベルリオーズ。
へみ
「見たまま」を表現したような音楽が印象派だとすると、「心の中」を表現したのがロマン派音楽です。
代表作の幻想交響曲は、彼自身の失恋体験をもとに作曲された5楽章からなる交響曲です。
実際にベルリオーズは幾度となく大失恋を経験していて、絶望の中アヘンを吸いながら書かれた(!)とも言われています。
ポール・デュカス
ルイ・エクトル・ベルリオーズ(1865ー1935)
出生地:フランス パリ
代表曲:魔法使いの弟子、ピアノソナタ変ホ短調など
ディズニー「ファンタジア」で用いられた、魔法使いの弟子を作曲したのがデュカスです。
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超が付くほどの完璧主義で、自分の作品を酷評する評論を投稿したこともあったとか…
多くは彼が50代後半の時に自ら破棄してしまったため、デュカスの曲はほとんど残っていません。
ですが、多くの評論を行ったりパリ音楽院での教授を歴任したこともあり、フランス印象派の音楽家との交流は盛んでした。
実際ドビュッシーとはかなり仲が良かったそうで、似た作風の曲もちらほら見られます。
ちなみに、リンクの「魔法使いの弟子」はハロウィンクラシックの記事で取り上げました。
ほかにもたくさん!クラシックのフランス音楽を一挙ご紹介
7人のクラシックフランス作曲家と、彼らの代表曲を紹介してきました。
へみ
が、正直フランス印象派推しの私としては紹介し足りないです…!
そこで、フランスのクラシック音楽の特色がよく表れているクラシック曲を一気に紹介させていただきます♪
サティ ジムノペディ第1番
サティ最初期の作品であり、ドビュッシーを感動させたと言われているジムノペディ。
現代では第1番がよく聴かれますが、3曲セットで発表されています。
セブンスコードが多用されていて洒落た雰囲気を醸しつつ、終止は「教会旋法」に倣うなど古典的手法も効果的に用いています。
ドビュッシー ベルガマスク組曲
ドビュッシーの初期作品で、まだあまり東洋っぽさが取り入れられていない貴重な作品。
サティのジムノペディに影響を受けたとも言われていて、バロック時代のダンス(メヌエットやパスピエ)を教会旋法のメロディで作り上げています。
第3曲は有名な「月の光」です。
ドビュッシー 交響詩「海」
出版時のオーケストラスコアに「神奈川沖浪浦」が使われたという事で、日本でも有名なドビュッシーのオーケストラ作品です。
しかしこの曲は、北斎の絵画に影響を受けたわけでもなく、海の様子をそのまま描写したワケでもなく「音を海の波のように展開させていく」という新しい作曲技法に挑戦した作品だと言われています。
内から押し寄せてくる波のように、内声部の主題が次々に展開していく様子は、いつ聞いても圧巻です。
ドビュッシー 子供の領分
愛娘、シュシュのために作曲された曲です。
子供が弾くための簡単な音楽ではなく、大人が子供の気持ちを表現するための曲…という事で、シューマンの「子供の情景」に通ずるものがありますね。
6曲からなり、当時の子供たちの流行りや言い伝えなどがモチーフになっています。
ラヴェル 亡き王女のためのパヴァーヌ
16世紀ごろにスペイン起源で流行した「パヴァーヌ」という舞踏がありました。
スペインの小さな王女が踊るような、繊細で上品なパヴァーヌとして作曲されたこの曲ですが、ラヴェル自身は音楽院時代に作曲したということもあり「イマイチ…」と周りにこぼしていたとか。
ですが晩年、認知症・失語症のような症状に悩まされていたラヴェル自身は、この亡き王女のためのパヴァーヌを聴き「美しい曲だね、誰の曲?」と聞いたそうです。
ラヴェル スペイン狂詩曲
ラヴェルのルーツである、スペインバスク地方の民族音楽が自由に取り入れられた狂詩曲です。
カスタネットや木管楽器が刻む情熱的なリズム、コーラングレやファゴットなど低音ダブルリード群が奏でる哀愁あるメロディなど、人間味あふれるオーケストラ曲ですね。
ラヴェル ボレロ
スネアドラムがたった1種類のリズムを刻み続け、メロディはたった2種類を繰り替えすだけ。
さらに全曲通して1つのクレッシェンドで、徐々に徐々に大きくなっていく…
へみ
なのに色彩豊かで、最後は大盛り上がりですよね
ラヴェル自身は、このボレロがこんなに人気になるとは思っていなかったそうですが、ボレロもスペイン舞踏ということで思い入れは深かったのではないでしょうか。
サン=サーンス チェロ協奏曲
サン=サーンスの壮年期の作品であり、チェロ奏者の重要なレパートリーである1曲。
アパッショナート(情熱的)な部分と優雅な部分、全曲を通してメリハリが効いていて、チェロの魅力満載!といったところでしょうか。
フランスのクラシック音楽、聴き方のポイントは?
フランス作曲家のクラシック音楽はとっても繊細。
細かな連符や小さな音で表現される部分が多いので、高性能なイヤホンで余すことなく楽しみたいところです。
ノイズキャンセリング機能やハイレゾ音源で、生演奏を聴いているような環境を作ってみてくださいね。
フランスのクラシック音楽を探すなら
フランス音楽の中でも、ドビュッシーやラヴェルの音楽は特に人気です。
日本ではCM・ドラマでも聴かない日がないくらい!なので、CDを探すと本当にたくさんの音源が出てきます。
印象派の音楽はある種自由なところがあるので、演奏者と聴き手の相性によって「聴きやすさ」が左右されてしまうのがデメリット。
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