ドイツ出身の作曲家、メンデルスゾーン。
シューマンやショパン、リストやワーグナーなどと同時期に活躍した作曲家なのですが、失礼ながら影が少し薄いですよね。
ですがメンデルスゾーンは、名曲の数々を残すだけでなく、クラシック音楽界に偉大なる功績を残した人物なんです!
そこでこの記事では、メンデルスゾーンが残した名曲や音楽界に与えた影響についてまとめてみました。
目次
メンデルスゾーンの有名なエピソード
メンデルスゾーンは1809年生まれの作曲家です。
クラシック音楽の中では「ドイツ・ロマン派」の時代に活躍した人で、ロマン派時代の特徴である「叙情的」「熱情的」といった気持ちを表現するのに長けた作曲家でした。
へみ
一方でメンデルスゾーンは、古典的な音楽の研究も常に行っていました。
クラシック音楽以前の「教会音楽」を取り入れたり、バッハの時代の「バロック音楽」の名曲をコンサートで復活させたりして、埋もれた名曲を世に送り出した人物でもあります。
メンデルスゾーンのエピソード①神童
メンデルスゾーンは「モーツァルト以来の神童」と呼ばれていました。
6歳でピアノを始めるとめきめき腕を上げ、9歳で初めてのコンサートを開いたほど!
即興演奏や、一度聞いた曲をすぐ楽譜に起こすのも得意。さらには外国語や絵画もすらすら習得していったそうです。
へみ
「頭が良すぎてちょっとおかしい」というエピソードも残っていて、天才すぎるがゆえに周囲を困惑させることもあったそうです。
メンデルスゾーンのエピソード②ドイツ出身でユダヤの血を引く作曲家
メンデルスゾーンは、ユダヤ人銀行家の父を持ちます。
大変教育熱心だった父のもと、ピアノや作曲の才能を開花させていきました。
ですが、音楽界でもユダヤ系は煙たがられ始めていた1800年代…メンデルスゾーンは同世代の作曲家に比べて古典的、懐古的だったこともあって、過剰な批判にさらされることも少なくありませんでした。
メンデルスゾーンのエピソード③J.S.バッハを世に知らしめた
メンデルスゾーンは20歳の時、バッハの「マタイ受難曲」をコンサートで演奏します。
それまでバッハは世界的にはもちろんドイツ国内でもあまり知られておらず、今のバッハの人気からは想像もつかないくらいマイナーな作曲家でした。
そんなバッハ音楽のすばらしさを世に知らしめたのがメンデルスゾーンなんです。
メンデルスゾーンの作風は?
ロマン派と言えば、これまでの「音楽の常識」を打ち破るような作曲家が多く出てきました。
そんな中メンデルスゾーンは「ソナタ形式」と呼ばれるモーツァルト時代の形式や、バッハの対位法、もっと前の教会旋法など、古き良き時代の音楽を大切にしています。
へみ
幼いころからバッハの楽譜をプレゼントされたり、合唱協会で合唱やオルガンの演奏を行っていたのが影響しているのかもしれませんね。
とはいえ、ロマン派時代に流行していた「叙情的なメロディ」もしっかり取り入れられていて、上品で少し儚げな雰囲気を持つ曲が多いです。
メンデルスゾーン珠玉の名曲【ピアノ曲編】
メンデルスゾーンは37歳で亡くなるまで、作品番号が振られているだけでも150曲以上の曲を残しています。
へみ
番号が振られていないものを合わせると、なんと750曲以上もあるとか!
そんなメンデルスゾーンですが、真骨頂は「ピアノ曲」です。
ピアニストでもあったメンデルスゾーンのピアノ曲は、6曲×8集の「無言歌集」という曲集にまとめられています。
無言歌集より ヴェニスの船歌
作曲年:1835年(26歳)
ゴンドラがゆったり揺れながら進む様子が、8分の6拍子ベースで表現されています。
譜面としては簡単なピアノ曲ですが、優雅な船旅を表現するのは至難の業。
曲中では盛り上がる箇所が何度かありますが、ドラマチックになりすぎないのが上品です。
無言歌集より「春の歌」
作曲年:1842年(33歳)
春に聴きたいクラシック音楽でも紹介したこちらの曲。
メンデルスゾーンが作った曲の中でも一番有名な曲かと思います。
へみ
無言歌集、というのは全部で8集(それぞれ6曲)あって、20代から亡くなるまで生涯にわたり書き留められていたピアノ曲集です。
優雅でワクワクするメロディの裏側に、華やかなアルペジオが絶え間なく弾き続けられています。
弾く人にとっては、小指と薬指メインでメロディを奏でないといけないので、意外と難易度が高いです。
春の穏やかさとメンデルスゾーンの上品さがマッチしていて、聴く人みんながうっとりしてしまう曲ですよね。
無言歌集より「紡ぎ歌」
作曲年:1845年(36歳)
糸を紡ぐように、という言葉が最初に書かれているので「紡ぎ歌」と呼ばれています。
春の手仕事のように、明るい曲調と「ミツバチ」がぶんぶん言っているように絶え間なく動く半音階が印象的で、別名「ミツバチの結婚」とも。
へみ
スピード感あるピアノピースなので、ピアニストのレパートリーに入っていることが多い曲です。
ロンド・カプリチオーゾ
作曲年:1830年(21歳)
序奏はメンデルスゾーンらしい、上品で穏やかな長調。
へみ
ですが一転、どこかフランツ・リストを思わせる技巧的で情熱的なロンドが突然始まります。
この曲は、メンデルスゾーンが初恋の女性に贈った曲がモチーフになったと言われているので、曲調を聴くと納得ですよね。
ちなみにこの曲を引用した日本のポップスがあるそうで(恥ずかしながら知りませんでした)、ALI PROJECTというユニットの3曲がこのロンドがモチーフになっています。
厳格な変奏曲
作曲年:1841年(32歳)
早熟の天才と呼ばれたメンデルスゾーンですが、意外にも生前に発表した変奏曲はこの1曲だけです。
へみ
というのも、変奏曲はソナタに比べてより「形式」を重視するので、古典様式を重んじるメンデルスゾーンにとってはハードルが高かったのではないでしょうか。
この変奏曲も練りに練った形跡があり、主題と17もの変奏によって成り立っています。
調はほとんど変わらず主に装飾によって雰囲気が変わっているので、かえって作曲家の腕が際立っていますよね。
メンデルスゾーン珠玉の名曲【オーケストラ編】
メンデルスゾーンのオーケストラ曲は、劇中歌「夏の夜の夢」が最も有名です。
他にも交響曲やピアノ協奏曲、ヴァイオリン協奏曲など多数遺していて、中でも「メンコン」と呼ばれるヴァイオリン協奏曲はコンクールやコンサートで頻繁に演奏される名曲!
聴けば「知ってる!」となる曲も多いのではないでしょうか。
夏の夜の夢 序曲
作曲年:1826年(17歳)
シェイクスピアの喜劇「夏の夜の夢」にインスピレーションを得て作曲されたのが、夏の夜の夢序曲です。
へみ
先にこの「序曲」が作曲され、のちに戯曲の作曲を依頼されたときにそのまま序曲として使用しました。
作曲をきちんと学んでいたメンデルスゾーンらしく、ソナタ形式のきちんとした構成と古典的なメロディーラインが見られます。
妖精たちや動物を表現した描写が楽しく、これから劇が始まるようなワクワク感がありますね。
交響曲第4番「イタリア」
作曲年:1831年(22歳)
1830年から31年にかけて、メンデルスゾーンはイタリアを旅行して現地の文化やキリスト教の祭を目にします。
そこからインスピレーションを得て描かれたのが「交響曲第4番 イタリア」です。
へみ
日本では4楽章が特に有名で、神戸電鉄や小田急多摩線黒川駅の駅メロに使われています♪
ピアノ協奏曲第1番
作曲年:1831年(22歳)
交響曲第3番「スコットランド」
作曲年:1842年(33歳)
交響曲第3番は、交響曲第4番より前の1830年から作曲を開始しましたが、完成したのは12年後の1842年。
着想した時期は、まさにスコットランドを訪れている時期で、メンデルスゾーン本人は明かしていませんが、スコットランドにインスピレーションを得たと言われています。
この交響曲もほかのロマン派の交響曲と同じく「4楽章編成」ですが、すべての楽章は途切れることなく演奏されます。
へみ
オペラの幕と幕の間を途切れさせないワーグナーの手法とも通じるところがありますね。一つの作品として楽しんでもらいたかったのでしょう。
夏の夜の夢より 結婚行進曲
作曲年:1842年(33歳)
序曲は17歳の時に作られたものですが、夏の夜の夢の劇中音楽として依頼を受けて作曲されたのが「夏の夜の夢」です。
へみ
特に有名なのが結婚行進曲で、世界中の結婚式で流されていますよね。
劇付随音楽としては12曲作曲されましたが、コンサートでは「序曲」「スケルツォ」「間奏曲」「夜想曲」「結婚行進曲」が組曲として演奏されることが多いです。
ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 Op.64
作曲年:1844年(35歳)
ベートーヴェン、ブラームスとあわせて3大ヴァイオリン協奏曲と呼ばれる曲です。
コンクールやコンサートでも定番の曲となっていて「のだめカンタービレ」で聴いたことがある人も多いのではないでしょうか。
哀愁漂う1楽章の主題が、ヴァイオリンの音色にぴったりですよね。
へみ
始まった瞬間から涙があふれそうです…
メンデルスゾーン珠玉の名曲【室内楽・合唱編】
ピアノ曲とオーケストラの楽曲が有名なメンデルスゾーンですが、実は室内楽や歌曲、合唱曲にも隠れた名曲があるんです。
特に亡くなった年に書かれた「弦楽四重奏曲」は珠玉の名曲!
メンデルスゾーンの集大成ともいえる、ロマンティックな世界感に浸れます。
チェロソナタ第1番
作曲年:1838年(29歳)
アマチュアのチェリストだった弟のために書いた曲です。
古典派的な分かりやすい構成の曲ですが、弟と楽しむために書かれたのか「遊び心ある」「冒険的な」部分も多く見られます。
チェロは比較的難易度が低いとされていますが、さすがはピアニストのメンデルスゾーン…伴奏者泣かせのハイレベルなピアノ伴奏としても有名です。
弦楽四重奏曲第6番
作曲年:1847年(38歳)
亡くなった年に書かれた「最後の傑作」です。
メンデルスゾーン家は若くして急逝する人が多く、メンデルスゾーンの姉ファニーも、この年の5月に急に亡くなってしまいました。
へみ
作曲家・ピアニストであった姉を慕っていたメンデルスゾーンはショックを受け、神経的な発作をよく起こすようになります。
そんな中書かれた弦楽四重奏曲は、メンデルスゾーンにしては悲観的な曲調…悲しみに暮れる中書いていたのでしょうか。
4楽章あるうち3曲が短調で、唯一の長調である第3楽章も憂いを帯びています。
ひばりの歌
日本で高野辰之氏による訳詞が有名な「ひばりの歌(おおひばり)」。
もとはメンデルスゾーンは混声合唱曲として作曲した曲です。
有名どころなので一見簡単そうに思うかもしれませんが、メンデルスゾーンらしくメロディーが複雑に絡み合っていて、まるでオーケストラを聴いているような充実感があります。
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早熟の天才、メンデルスゾーンの名曲は、出版されているものだけでも150曲以上に上ります。
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