へみ
他に伴奏なしでもコンサートが開ける楽器と言えば、同じ鍵盤楽器のオルガンやチェンバロ、あとはたくさん弦をもつハープくらいでしょうか?
さらにピアノは、ほぼ聴こえない小さな音からホール中を響かせる大きな音まで出せるのも魅力です。
そんな万能選手ピアノは、長い歴史のなかでたくさんの「超絶技巧曲」が生み出されてきました。
そこでこの記事では、聴きごたえのある超絶技巧曲を厳選して紹介したいと思います!
目次
プロも断念する「難しすぎる」曲はたくさんある
演奏で生計を立てるプロでも、人前で弾けるレベルにまで達せず断念する曲はたくさんあります。
また「練習用」に作られた曲(エチュード)の中にも超絶技巧で知られる曲が多いです。
私は今回の特集を組んでいて「音大生時代にあちこちの練習室から聞こえてきたなぁ」と懐かしくなったものですが、そうでない方は超絶技巧の曲を耳にする機会がなかなかないかもしれませんね。
本当に10本の指だけで弾いてる!?超絶技巧が面白い曲7選
それでは、超絶技巧のピアノ曲を7曲紹介していきたいと思います!
超絶技巧といっても、指をひたすら動かすのが目的の曲だと「単調」「曲としてよく分からない」となりがち。
なので、曲としての美しさも完成された超絶技巧曲を厳選しました。
リスト 超絶技巧曲より第4番「マゼッパ」
超絶技巧の曲を数多く残したリストの中でも、最高難度クラスなのがマゼッパです。
マゼッパは実在した人物で、ウクライナ人としてロシアと戦った「ウクライナの英雄」です。リストはマゼッパにまつわる叙情詩に感銘を受け、15歳でこのマゼッパのもととなる曲を作曲しました。
30代の頃に編曲されたこの曲は、中間部のアルペジオ(分散和音)はリストによって「人差し指と薬指で弾く」と指示されています。
きちんと弾こうとすると右手と左手を使わないといけないので、より正確性が求められます。
ショパン 練習曲Op. 10-4
ピアニストの間で「10-4(じゅうのよん)」と呼ばれているショパンの練習曲です。
2分ほどの短い曲ですが、疾走感があって嵐のように過ぎ去ります。
音源によっては「かなりテンポが揺れている」演奏もあるのですが、実はこの曲は一定のテンポで弾き続けるのがとっても難しい曲なんですよ。
ベートーヴェン ソナタ第29番 ハンマークラヴィーア
ピアノソナタとしては異例の「4楽章」スタイルで作曲されていて、交響曲のように演奏時間が40分ほどかかる超大作です。
32曲あるベートーヴェンのピアノソナタの中でも最も難しい曲とされるのですが、その理由が1楽章や4楽章にある「フーガ」です。
フーガとは旋律が追いかけっこする手法で、バロック時代に確立されました。ただ単に同じ旋律を繰り返すだけではなく、高さが変わったり音符がひっくり返ったりと結構複雑。
ベートーヴェンのハンマークラヴィーアでは、このフーガが目まぐるしく展開されます。全部のパートをきちんと聴かせるように演奏するには、かなりの練習量が必要です。
プロコフィエフ ピアノソナタ第7番
プロコフィエフの代表曲というよりも、20世紀近代音楽の代表曲といっても過言ではない曲です。
ちょっと皮肉めいたプロコフィエフらしさがよく表れていて、特に3楽章は7拍子という何ともユニークな楽章になっています。
超絶技巧はもちろんのこと、人前で弾こうとするとかなりの体力と音量が求められます。実際プロコフィエフは手も体も大きかったので、日本人女性には向いていない作曲家とも言われているんですよね。
ヴォロドス モーツァルトのトルコ行進曲
モーツァルトのトルコ行進曲を、ピアノの名手であるヴォロドスが編曲したものです。
ベースはよく知られる曲なのですが、華やかさとピアノの魅力が詰め込まれた1曲となっています。
ちなみにヴォロドス氏は1972年生まれで、現役のロシア人ピアニストです。レパートリーは超絶技巧曲が多く、コンサートはいつも満席なんですよ。
ラヴェル 夜のガスパールより「スカルボ」
このスカルボは、ラヴェルがあえて「この世で一番難しい曲を作る」つもりで作曲した曲です。当時一番難しいと言われていた曲を挙げて、これより難しい曲を作る!と宣言していたそうです。
スカルボとは、夜に飛び回る妖精の事で「小悪魔」的な怪しさがある生き物です。そんなスカルボを表現するために、かなり早い指使いや音飛びが散りばめられています。
へみ
聴いているだけで指がちぎれちゃいそうです・・・
リスト ハンガリー狂詩曲第2番
リストはドイツを中心に活動していた作曲家なのですが、実はルーツがハンガリーにあります。リスト自身も故郷のハンガリーにアイデンティティを感じていて、数多くのジプシー音楽を曲に取り入れています。
そんなハンガリー音楽がふんだんに使われたのが「ハンガリー狂詩曲」です。全19曲ありますが、最も有名で技巧的だと言われるのがこの2番。
トムとジェリーの「ピアノ・コンサート」でも使われたことから、意外と耳にしたことがある人が多い曲です。
ピアノの超絶技巧曲を余すことなく聴くポイント
ピアノの超絶技巧曲は、とても繊細で複雑に入り組んでいます。
メロディーラインだけ追うのはもったいないので、ぜひ作曲家たちの工夫に気付ける聴き方で聴いてみてください。
細部まで聞き逃さないで!高機能イヤホン
ピアノの超絶技巧曲を聴くなら「カナル型イヤホン」である事は必須。さらにノイズキャンセリング機能が付いているイヤホンなら、もっと演奏に集中できるでしょう。
もしスピーカーで聴くなら、防音室レベルの静かな環境で聴いたほうがいいです。
ライブ音源だと曲を知っていないと厳しいかも
さらに、聴く音源も初心者は厳選したほうが良いかもしれません。
曲を知っている人ならライブ音源でも楽しめますが、案外細部を弾き飛ばしたり和音の一部をミスタッチしたりする演奏も多いもの・・・
録音でピアニストの最高の演奏が収録されたものを聴くと、より曲への理解が深まります。
楽譜が読める人は、ぜひ楽譜も入手してみて
曲を聴きながら楽譜が読める人は、弾ける弾けないにかかわらず楽譜を手に入れるのもおすすめです。
自分では気づかなかった内声部が聴こえてきたりして、より「すごい曲だなぁ」と思えますよ。
ピアノの超絶技巧プレイリストを作るならAmazonミュージック
紹介した超絶技巧曲を効率よく手に入れるなら、定額料金で聴き放題になる「音楽サブスク」がおすすめです。
クラシック音楽も充実している音楽サブスクといえばAmazonミュージックで、全700万曲の中から好きな曲が選び放題!
中にはハイレゾクラスの音源もあって、充実したクラシックプレイリストが作れますよ。
月額料金は980円で、プライム会員なら780円です。初めの3ヵ月は無料でお試しできるので、ぜひ感動のクラシック体験をしてみてくださいね。
2 件のコメント