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バランス接続とアンバランス接続との違いは?リケーブル無しでバランス接続を楽しめるイヤホンも紹介

DAPやイヤホンなどを揃えてこだわりはじめると、バランス接続にも手を伸ばしたくなりますよね。

イヤホンやDAPを選んでいても、度々「バランス接続対応」という言葉を目にします。なんとなく「音が良い接続方式」ということくらいはわかっていても、具体的にアンバランス接続とどこが違うのか、知らない人も多いでしょう。

そこで今回は、バランス接続の基本と、リケーブルしなくてもバランス接続が楽しめるイヤホンを紹介します!

そもそもバランス接続って何? アンバランス接続と比較解説

バランス接続とアンバランス接続の二種類が、イヤホンの接続方式の大別です。何ミリプラグ、というのはその中の細い仕様の違いになります。

一般的に使われる3.5mmミニプラグは、アンバランス接続です。

アンプやDAPでイヤホンを駆動する方式として、バランス接続とアンバランス接続とがあります。

アンバランス接続は、正相の音声信号が流れて駆動するんです。わかりやすく言えば、左右ともに「プラス」の音声信号のみが流れます。さらに、グラウンドという電気をスムーズに流すのに必要なものは左右で共有です。

そのため、右の信号に左の信号が、左の信号に右の信号が少しだけ混ざってしまいます。これをクロストークと呼びますよ。

一方バランス接続は、正相と逆相の音声信号が左右それぞれ別れて流れる方式です。

つまり、クロストークが減少します。左右の音があまり混ざらず、左右の音の定位感がハッキリして音に立体感が増すんです。

さらに、電位が安定するというメリットもバランス接続にはあります。音声信号がグラウンドに流入せず、電位が安定して音質向上になるんです。

そして、スルーレートも向上します。これは、アンプの動作速度を示すものです。出力電圧が規定した単位時間あたりに、どれだけ変化できるかの割合を表します。

これが向上すると、たとえば残響音の表現がとても正確になるんです。音の強弱、表現力などの向上につながると覚えておくと良いでしょう。

また、逆相の信号を流すことによりノイズが低減されます。

バランス接続にデメリットがあるとすれば、対応機種の値段が高くサイズが大きく、規格が多いことです。

バランス接続に対応したアンプはどうしても高くなります。そのうえ、電気回路が多くなるので物理的にDAPのサイズアップも避けられません。

一般的なイヤホンのバランス接続の規格は4.4mm5極と2.5mm4極と種類があります。また、当たり前ですが有線接続必須です。

バランス接続対応イヤホンを選ぶときのポイント

バランス接続は音の定位が良くなって表現力も高くなり、ノイズが低減されると語ってきました。

ただ、選ぶときに見るべきポイントは結構あります。それを理解しないと、選びにくいですよね。そこで、バランス接続対応のイヤホンを選ぶときのポイントを紹介します。

リケーブル可能かどうかをチェック

今回は、ケーブルを追加購入せずにバランス接続を楽しめるイヤホンを紹介していきます。

ただ、そうするとどうしてもラインナップが限られるんです。幅広いラインナップから自分で選ぶなら、リケーブル可能なイヤホンを選ばないといけません。

リケーブルとは、文字通りケーブルを取り外して交換することを指します。

ほとんどのイヤホン・ヘッドホンは、ミニプラグのみ付属しているんです。バランス接続用のケーブルは、自分で買う必要があります。

そのとき、自分が使っているDAPやヘッドホンアンプの端子の規格を確認し、合う端子を持つバランス接続用ケーブルを買うという流れです。

ただ、ひとつ気をつけてほしいことがあります。

ケーブルというのは、同じバランス接続対応のものでもさまざまな種類があります。たとえばケーブルの素材、構造などですね。構造は特にぐるぐると折り重なっているのが見えるタイプのものなど、色々あります。

しかも、ケーブル選びにハマると自然と電気系の知識にもハマっていくようになるんです。どうしても、電気系の知識がないと選べない場面がありますから。

値段もイヤホンケーブルだけで安くて1万円前後、高いと5万、10万円とする世界が今あなたの目の前には広がっています。

そしてケーブルによって驚くほど音が変わります。

お財布の紐と、しっかり相談して楽しく沼にハマりましょう。

一気にズブリと高価なものを買いすぎて、苦しい沼にハマる人もいるので注意してください。

イヤホン本体との接続規格をチェック

左からゼンハイザーのオリジナル規格、MMCX規格、2pin規格

イヤホン本体と接続するコネクターは、業界で一般的に採用されているMMCXや2pinが中心ですが、ゼンハイザーなどブランドによっては独自規格のコネクターになっています。

リケーブル可能なイヤホンは、説明書きにコネクターについての記載がある為、必ずチェックするようにしましょう。

装着タイプをチェック

バランス接続に最初から対応しているイヤホンではあまり気にする必要もないかもしれませんが、装着タイプも念の為チェックしておきましょう。

気にする必要があまりないというのは、バランス接続に最初から対応しているイヤホンのほとんどがカナル型だからです。バランス接続はノイズを低減したクリアな音、音の定位感、表現力が魅力。

カナル型は耳の穴に挿し込んで密閉状態で使うため、環境音などが邪魔になりにくく相性が良いんです。

逆に、インナーイヤー型は挿し込まずに使うため音漏れしやすく、外部の音も聞こえやすくなります。あまり相性が良いとは言えません。

リケーブル可能なイヤホンを選ぶ際には、ここはしっかり見ておきましょう。

ドライバーの駆動方式をチェック

ドライバーユニットの駆動方式も、イヤホン選びには重要なポイントです。

ドライバーユニットというのは、平たく言えば音を出している部分。

最もよく使われるのは、ダイナミック型です。ダイナミック型は、大きく響くような低音を出すのが得意だと言われています。そのうえ再生周波数の範囲が広いです。

ただ、その分音の解像度は下がります。解像度というのは、どれだけ細かく元の音源を再現しているかを示す指標です。音の密度と言い換えられることもあります。

続いて、バランスド・アーマチュア型について紹介しましょう。

これは比較的高価格のイヤホンで採用されることが多いです。特に、モニターイヤホンなど正確性重視のモデルに採用される傾向があります。

中高音域が得意です。再生周波数の範囲はダイナミック型には劣るものの、人間の可聴域くらいはカバーしてくれます。

最も良いところは、音の解像度が高いことです。だから正確に音を知るのが重要なモニターイヤホンに採用される、というわけですね。

また、ダイナミック型とバランスド・アーマチュア型とを両方搭載したハイブリッド型もあります。音に欠点はないものの、価格帯はとても高いです。

基本スペックをチェック

基本スペックについても、見ていきましょう。

まず、インピーダンスです。これはΩで表されます。抵抗値のことですね。数値が大きければ大きいほど電気抵抗が強く、ノイズがカットされやすくなるんです。それと引き換え、出力は低くなるのでデバイス側の音量をしっかり上げなければなりません。

続いて、再生周波数帯域です。

これは、再生可能な音の範囲を示しています。この数値が広いほど幅広い音が出るということになりますね。人間の可聴域は20Hz~20kHzまでです。最低限、これをカバーしていることが求められます。ちなみに、可聴域を超えていても聞き分けができる人もいますよ。

次は、感度です。

感度はイヤホンから出力される音の大きさを示しています。

あとは、ドライバーのサイズも見ておきましょう。イヤホンは似たりよったりの大きさになりますが、一般的に大きい方が迫力が増すと言われています。

音の傾向をチェック

音に関しては、完全に好みです。感覚的な問題で明文化しにくい部分となっていますが、各モデルごとに「多くの人がこう感じている」という音の傾向があります。たとえばBOSEのスピーカーは低音が強い、というのは共通認識ですよね。

そういう「低音が強い」「高音がキラキラしてる」「バランスが良い」というのが、音の傾向です。

ここでは、バランスタイプを「フラット」と表現します。

実店舗で試聴するのが一番良いですが、その前にある程度モデルを取捨選択したいですよね。そのときには、レビューなどで書かれている音の傾向を参考にすると良いでしょう。

ただし、一般的に「低音が良い」とされていても、人によっては「聞くに堪えない」と感じることもあります。最後に信じられるのは、自分の感覚であることを忘れないでくださいね。

リケーブルなしで楽しめるバランス接続対応イヤホン4選!

ここまで、バランス接続とアンバランス接続との違い、イヤホンの選び方を説明してきました。ケーブルは果てしない沼です。すぐ入るのは難しいと感じるかもしれません。

そこで本記事では、リケーブルせずにバランス接続を楽しめるイヤホンを4つ紹介します。参考にしていただけると幸いです。

パイオニア SE-CH5BL

  • 装着タイプ:カナル型
  • 駆動方式:ダイナミック型
  • ドライバーサイズ:9.7mm
  • インピーダンス:26Ω
  • 再生周波数帯域:8Hz~45kHz
  • 音圧感度:108dB
  • プラグ種類:2.5mm4極

ケーブルだけで安くて1万前後するバランス接続ですが、本機はなんとイヤホン本体に2.5mm4極ケーブルが付いて1万前後です。鬼のようなコストパフォーマンスで、まさにバランス接続入門機と言えます。試したいけどあまりお金をかけられないという人に、ぴったりです。

ハウジング接合部分にはシリコン系接着剤が使われており、これが不要な振動の排除に役立っています。

不要な振動が減ると、引き締まったクリアな音になるんです。

音の傾向は、若干低音重視といったところ。低域はガンガン強くくるというよりも、キュッと引き締まったような音になっています。低音重視としては疲れにくいです。

中域はクリアでバランスが取れています。高音の伸びもこの価格帯のダイナミック型にしては良く、再生周波数帯域の広さを感じるでしょう。

ケーブルが編み込みになっているのも、ポイントが高いです。

バランス接続のクリアな音になるなどの恩恵は、しっかりと感じられます。安価なイヤホンで音を良くしたい、という場合に最適です。ここからイヤホン沼にハマる人も、少なからずいるでしょう。

パイオニア SE-CH5BL イヤホン カナル型/ハイレゾ対応 ブラック SE-CH5BL-K
Pioneer

SONY XBA-N3BP

  • 駆動方式:ハイブリッド
  • ドライバーサイズ:9mm
  • タイプ:カナル型
  • インピーダンス:16Ω
  • 再生周波数帯域:3Hz~40kHz
  • 音圧感度:107dB
  • プラグ種類:4.45極

本機は、XBA-N3BPという以前からあるものに、4.4mmバランス接続ケーブルを付属させた派生モデルです。

4.4mmはバランス接続の中では比較的普及度が高い方なので、純正でこれが付いてくるのが嬉しいところですね。多くのDAPとアンプに対応してくれます。SONYにも4.4mmバランス接続対応のWalkmanがあるので、それと合わせるのも良さそうです。

音は、SONYらしい堅実なつくり。公式サイトに「原音の持つ音色の美しさをありのままに表現する」とありますが、まさにそのとおりの音になっています。バランス接続だとより強くそう感じられるのがポイントです。

バランスケーブルを付属しただけの派生モデルなのに、まるで最初からバランス接続のために作られたかのように感じます。

それぞれ音の粒がしっかりと立っているのですが、まとまりがある感じです。全ての音域でバランスがしっかり取れています。

特に高音域は余韻、残響、息遣いも聞こえてくるほどです。無音が聞こえるという一見矛盾した表現が、ぴったりと合うでしょう。

ハイブリッド型のドライバーユニットなのも、大いに貢献しています。

オーツェイド intime 碧 Ti3 Edition2 4.4mmプラグ

  • 装着タイプ:カナル型
  • 駆動方式:ハイブリッド型
  • ドライバーサイズ:10mm
  • インピーダンス:22Ω
  • 再生周波数帯域:10Hz~55kHz
  • 音圧感度:100dB
  • プラグ種類:4.4mm5極

嘘みたいに再生周波数帯域が広いですね。ダイナミック型とバランスド・アーマチュアを両方搭載したハイブリッド型なので、ダイナミック型の良さである再生周波数帯域の広さをここぞとばかりに見せつけてきています。

本機は2019年8月に発売された「碧 Ti3」の後継機です。碧Ti3は、intimeでは初となる上級者向けフラッグシップモデルでした。ハイエンドユーザーのみならず、はじめて高いイヤホンを買うという人にも大いに受けたモデルです。

その後継機である本機には、第3世代VST2が採用されているという特徴があります。

これは独自技術の積層型セラミックツイータというもの。一般可聴域を超えた超高域の感度が増加して、より自然に近い音場の脚性が可能になっています。先程の嘘みたいな再生周波数帯域は、駆動方式の強みであると同時に、VST2の強みでもあるということです。

さらに、リニアにティも向上して落ち着いた中高域も楽しめます。

そして、低音の要となるチタンコートウーハーを先代から引き続き採用。これで、沈み込むような低域の再生能力も持つようになっています。

他にもフルチタン合金を使って軽量で高剛性、音響特性の最適化にも繋がっているなど、特徴は語り尽くせません。

大事な音について、見ていきましょう。

音の傾向は、低音と高音が強いドンシャリサウンド。

高音域の量感は少し多めといったところです。クリアで鮮やかな音という印象があります。バランス接続で聴くと、より自然な音の広がりを感じることができ、残響感も強くなる印象です。

中音域は量感が標準か少し少ないくらいといったところ。低音域が強いイヤホンによくあるディティールの欠如などはほとんど目立たず、しっかりと細い音を拾うことができます。

低音域は量感がどう聞いても多いです。かなり周波数の低いところまで量感が感じられます。音の輪郭がハッキリとしていて、キレと迫力のある低音に仕上がっているのが特徴です。

高音は音の響きがしっかりしているので、バランスを取っているといった印象があります。

ドンシャリのお手本のような音です。

また、今回は4.4mmバランスタイプを紹介しましたが、2.5mmバランスタイプと3.5mmアンバランスタイプもありますよ。

水月雨 CHACONNE 4.4mm Balanced Version

  • 装着タイプ:インナーイヤー型
  • 駆動方式:ダイナミック型
  • ドライバーサイズ:13.5mm
  • インピーダンス:24Ω
  • 再生周波数帯域:20Hz~20kHz
  • 音圧感度:124dB
  • プラグ種類:4.4mm5極

水月雨と書いて「MOON DROP(ムーンドロップ)」と読ませる、知る人ぞ知るといった感じの中国のブランドです。安価な値段で良いイヤホンを提供しているので人気ですよ。

今回紹介する中では、唯一のインナーイヤー型ですね。インナーイヤーは疲れにくい装着感なので、長時間使うのに向いています。インナーイヤーが好きだという人もいるので、バランス接続の中にもこういう選択肢があるとありがたいです。

インピーダンスは一般的なイヤホンと同じくらいですが、音圧感度は一般より大きくなっています。大音量で聴くのにぴったりです。必然的に音漏れするので、家で大音量で流したいですね。

再生周波数帯域は、人間の可聴域ぴったり。中域は問題無いかもしれませんが、重低音には不向きです。重低音好きなら、この時点で選択肢から外れるでしょう。

最高音域もダイナミック型にしては低いです。人間の可聴域という最低ラインはカバーしていますが、それを超えた音も自然界や音楽には存在します。特にクラシック音楽はそうです。そういった音の細かさは、あまり期待できません。

肝心の音ですが、モニターイヤホンに近いフラット。

本機最大の魅力は、高音の伸びと明瞭さだと言えます。最高音域が低めの割には、中高域がしっかり伸びやかです。特にボーカルはどれだけ声が高いと言っても、人間の可聴域を超えた音になることはなかなかないので、ツヤのある伸びやかさが楽しめます。

音もかなりクリアで、一点の曇りもありません。

ただ、低音の圧はやっぱり弱いです。

音に若干の冷たさも感じます。

バランス接続は底なし沼の入り口! 思い切り音楽を楽しもう

今回は、イヤホンのバランス接続について解説してきました。アンバランスより音響面のメリットが大きいものの、ケーブルを買うと財布の紐がどんどんゆるくなっていき、財布も軽くなっていきます。

まずはハイブリッド接続を試すという意味でも、新たにケーブルを買わずバランス接続が楽しめるモデルを購入してみてはいかがでしょうか。

それで気に入り、もっと色々知りたいと思ったら底なし沼の入り口。お好みに応じて、ケーブル選びという沼にゆっくり沈んでいきましょう。

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