中国のオーディオブランド「HIDIZS」の4BAモデル、HIDZS MD4。独自開発のバランスド・アーマチュアドライバーが特徴的な、一風変わった有線イヤホンです。
珍しい機能を備えながら、良好かつ方向性がハッキリとしている音質が魅力。
今回は、そんなHIDIZS MD4のスペック・外観・音質・装着感をレビューしていきます。合う音楽ジャンルも紹介するので、ぜひご参考ください。
目次
HIDIZS MD4のスペック
- 形式:カナル型イヤホン
- ドライバータイプ:4BA(低域×2・中域×1・高域×1)
- 再生周波数帯域:20Hz〜40kHz
- 音圧感度:102±1dB@1kHz
- インピーダンス:8Ω
- プラグ:3.5mm3極
- コード長:1.2m
- リケーブル対応(2pin 0.78mm)
- 保証期間:1年
バランスド・アーマチュアドライバーを4基、各音域ごとに振り分けるようにして搭載しています。
バランスド・アーマチュア型ドライバーは、ダイナミック型よりもドライバー自体が小さいのが特徴です。そのため細かく振動させられるという利点があります。
振動が細かいため、音の分離がよく繊細かつクリアな音になる傾向があるのが特徴です。小型なので、帯域別に複数搭載させやすいのも魅力となっています。
一方、低域がダイナミック型よりも弱い傾向があるため、本機はそこを補うように低域に2基搭載しているのが特徴です。
さらに、インピーダンスは低めの8Ωです。低めではあるものの、どのようなアンプとも組み合わせられるのがいいところ。電流が流れやすくノイズが混入しにくいため、クリアな音になりやすいです。
また、アンプの出力が弱くても十分な音量になります。高出力アンプ搭載のDAPなどはもちろん、スマホに変換器だけをつけて使う場合でも使いやすいです。
HIDIZS MD4の外観・付属品をレビュー
HIDIZS MD4のスペックを紹介してきました。今度は、外観と付属品についてそれぞれレビューしていきます。近年の中華イヤホンは音質や機能だけでなく、デザインにこだわられた製品も多いので、デザインは特に要チェックです。
外観レビュー
まず、化粧箱が大きく綺麗です。決して安い製品ではないので、化粧箱がしっかりしているのは嬉しいポイント。化粧箱の質感も高級感があり、捨てずに保管しておきたくなります。
中を開けるとすぐ本体が出てきますが、この本体のデザインも特徴的です。
フェイスプレートが、どこか宝石のような印象。カラーリングによって、違う宝石のように見えます。ブラックまたはホワイトだと、おしゃれなデザインと普段遣いしやすいおとなしめのデザインの中間という印象になるのがいいところです。
普段遣いしやすく、なおかつ所有欲が満たされるデザインになっています。
付属品レビュー
- MD4本体
- ケーブル
- イヤーピース:S・M・L各3種類ずつ
- クリーニングブラシ
- レザーケース
- スイッチ仕様のカード
- 説明書
- 保証書
HIDIZS MD4は、付属品が充実しています。
イヤーピースが、3種類3サイズあるのが特徴です。一般的に、付属イヤーピースは1種類3サイズになっています。
さらに、種類ごとの特性がわかりやすく記載されているのもいいところです。
ボーカル、バス、バランスとそれぞれどのような音になるのかを想像しやすくなっています。使っていないイヤーピースは箱に収納しておくと、紛失せずなおかつ役割を見失いにくいです。
イヤーピースによる音の違いを試す入門としても、使いやすくなっています。
高級イヤホン初挑戦で、リケーブルやイヤーピース変更を楽しんでみたいという方には特におすすめです。
そして、レザーケースが付属します。ハードタイプで、収納に余裕があるのがいいところです。イヤホンとケーブルだけでなく、イヤーピースも入れておけます。
そのうえ、内部空間に余裕があるのでケーブルをつけた状態で入れておきやすいです。
また、クリーニングブラシは本体に搭載されたスイッチを切り替えるためのスティックとしても使えます。小さいスイッチなので、指で切り替えるよりもブラシを使うほうが楽です。
全体的に痒いところに手が届く、充実したパッケージだと言えます。
HIDIZS MD4のメリット・デメリット比較
メリット
- 全てが高級感に溢れたデザイン
- リズム感に優れた音
- 大迫力の音質
- 中央寄りの音場と高解像度・高分離
- 面白いサウンドチューニング機能
- リケーブル対応
- 高いビルドクオリティ
デメリット
- チューイングの癖が強め
- 音場はあまり広くない
- 楽器や声によっては合わないことがある
以上が、HIDIZS MD4のメリットとデメリットです。音質や機能の癖などは、これから詳しくレビューしていきます。
デメリットもそれなりにあるものの、メリットのほうが多く大きいです。音質に関しては好みや合わせる音楽ジャンルによるところが大きいので、一概には言えないものの、少なくとも高音質であることには変わりません。
また、音場に関してはメリットとデメリットの両方を兼ねています。
その点もあわせて、これからレビューしていくので、ぜひご参考ください。
HIDIZS MD4の音質をレビュー
ここでは、デフォルトのチューニングの音質傾向をレビューしていきます。
HIDIZS MD4の音は、解像度が高いです。
音の解像度が高いというのは、情報の密度が高いと言い換えられます。オーケストラなどの楽器数が多い音や、リズミカルにさまざまな楽器や音を鳴らすような打ち込み系・電子サウンド系との相性が非常にいいです。
分離感も良好でそれぞれの音をしっかりと聞き分けられるので、じっくりと音楽を楽しむのに向いています。
さらに、やや暖色系の傾向のある音が特徴的です。同時に金属的、機械的な音がすることもあり深みが感じられます。音場は狭いのですが、温かく深みのある音場といった印象で、広すぎないのがかえって特定ジャンルに合うようになっているといった風情です。
音場は中央寄り。正面の音に集中するような聴き方になります。
解像度が高いのでオーケストラ向きではあるものの、さまざまな音をフラットに楽しむようなイヤホンではないので、クラシック・オーケストラ好きの方にはあまり合わない可能性が高いです。
一方、音に非常に強いアタック感があり大迫力で、なおかつエフェクトをかけたような音になっています。
そのためか、ゲーム音楽のようなリズミカルな打ち込み系や電子サウンドのような曲、電波ソングなどとの相性が特にいいです。
さまざまな楽器が使われた音楽というよりも、さまざまなエフェクトが使われた音楽に合う音質といったイメージ。
ゲーム音楽、アニソン、電波ソング、近年のエフェクト多めのポップス、EDMあたりとの相性が特にいいイヤホンです。
HIDIZS MD4の装着感をレビュー
HIDIZS MD4の装着感は、良好です。
本体が耳の中にすっぽりとおさまり、飛び出しがありません。ぐらつきも特に感じず、歩いても耳から落ちそうになることがないので、通勤・通学中などでも問題なく使えます。
付属ケーブルを耳にかけるようになっているのも、落ちにくいポイントです。無難に良好な装着感といった感じで、飛び抜けてよいということも悪いということもありません。
また、長時間つけても耳が痛くなりにくいです。普段長時間イヤホンを装着している方でも、違和感なく使えます。
HIDIZS MD4の機能をレビュー
今度は、HIDIZS MD4の機能についてレビューしていきます。チューニング機能の使い勝手などが気になる方は、ぜひご参考ください。なお、各チューニングの音質傾向などについては後ほど詳しくレビューします。そちらもあわせて、参考にしていただけると幸いです。
チューニング機能は面白いけど癖がある
チューニングを本体スイッチで切り替えられる機能は、非常に面白いです。アプリなどでイコライザー調整ができる製品は数多くありますが、チューニングそのものを切り替えられるイヤホンはそうそうありません。
ただ、癖が強い印象です。
チューニングの方向性がハッキリとしていると言い換えることも、できます。合う楽器・音楽ジャンルと、合わない楽器・音楽ジャンルがそれぞれにあるので、慣れるまでは使いにくいです。
標準の音の時点で楽器やジャンルによる合う合わないがハッキリしていますが、切り替えるとそれがより強調される印象になります。
たとえば標準では「ゲーム音楽」「アニソン」「電波ソング」「EDM」に合う音だったのが、切り替えると「電波ソングには合うけどゲーム音楽には合わない」音になるようなイメージです。
ただ、それぞれの役割がハッキリとしているので、さまざまな音源でスイッチングして遊んでみて、慣れると使い分けやすくなります。
リケーブル対応で好みに合わせやすい
HIDIZS MD4は、リケーブルに対応しています。
イヤホンは、ケーブルを変えると音の傾向が変わることがあるのが、面白いところです。チューニングだけでなく、ケーブルを変えることでも自分の好みに合わせられます。そのうえ、3種類のイヤーピースが付属するのでイヤーピースやケーブルを変える遊びを楽しみやすいです。
リケーブルやイヤーピース変更にはじめて挑戦したい方にとって、遊びがいがある面白いイヤホンだと言えます。
HIDIZS MD4のチューニング機能をレビュー
- SW 01:バランスタイプ(標準チューニング)
- SW 00:高音域タイプ
- SW 10:音場を広く解像度を低くする
- SW 11:低域タイプ
以上が、各チューニングの概要です。
「SW 01」は、出荷時の標準チューニング。本記事の音質レビューで触れたチューニングが、これです。バランスタイプと言いつつも、フラットではなく個性のある音になっています。
「SW 00」は、全体的に中域から下の厚みが少しスッキリとした印象になるのが特徴です。高音域に寄っていきますが、高域の抜け感や透明感が良くなるといったことはありません。
音量バランスが変わるような感覚です。MD4らしさが少し抜けて、近年一般的な音に近づきます。一番使い所が見極めにくいチューニングです。
「SW 10」は、音場が最も広い印象のあるチューニング。解像度が下がり全体的に角が取れて聞き流しやすくなるので、寝ながら音楽やASMRを聴く場合や作業用BGMを流す場合に、使いやすいです。
「SW 11」は、低音がやや強くなるチューニング。低域の量感が増えて迫力がありますが、SW 01のほうが低音のキレの強さは上といった印象です。量感も劇的に増えるというわけではないので、少し使いにくく感じます。
まとめ
本記事では、HIDIZS MD4の音質やチューニング機能などについてレビューしてきました。
チューニング切り替えという特徴的な機能がありますが、それ以上に音の個性が際立っているのが印象的です。
温かく深みのある狭めの音場に、高解像度な音を詰め込んでいます。楽器はギターやキーボードとの相性がよく、金管楽器などとの相性はそれほどよくありません。
音楽ジャンルはゲーム音楽や電波ソングなどの打ち込み系、アニソン、電子系のロックサウンド、EDMなどとの相性が特にいいです。
個性的な音ですが、だからこそ使い所がたくさんあるイヤホンに仕上がっています。
音の迫力を重視する方や、上記の音楽ジャンルが好みの方、少し個性的な高級イヤホンが欲しい方などには最適なイヤホンです。